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何がきっかけだったか忘れてしまったのですが、「Sound Horizon」というグループをどこかのサイトで目にしました。物語を歌で表現する作品を発表しているとのこと。興味が湧いてきて、新宿TSUTAYAへ。何枚も並んでいるCDの中から選んだのが、上に画像を貼り付けた『Roman』です。
ジャケットの歌詞カードを見てビックリ!
生まれて来る朝と 死んで行く夜の物語
嗚呼...僕たちのこの寂0302さは 良く似た色を0302た《宝石》
文字化けではないですよ。歌詞カードに書かれているものを写しただけです。これは1曲目の冒頭なのですが、2曲目以降もこんな調子で数字が挿し込まれています。この数字の意味は? こんな面倒に思えることを何故しているのか? その謎は、ぜひ自分で解いてください。
この数字以外にも、歌詞カードには不思議が隠されています。歌詞カードの各ページには三日月形の穴が空いています。穴が空いているだけでも不思議なのですが、この穴にも仕掛けが……。発見の喜びを奪いたくないので、仕掛けの謎は自分で!
これは聴いてみたい!と思い、借りました。聴きました。その世界観の深さに引き込まれました。
全体がまるで一連の叙事詩です。幾人もの登場人物がドラマに巻き込まれていきます。それぞれの歌(物語)の薄ぼんやりとした関連を感じながら、曲は進んでいきます。メロディーの伴った歌だけでなく、語りもあります。登場人物ごとに歌い手、語り手が変わっていきます。1つの曲の中でもクルクルと変わっていきます。
物語の舞台は中世ヨーロッパのようです。ファンタジー小説・マンガなどで見られそうな舞台です。《焔》《幻想》《風車》《憧憬》《荒野》《宝物》なんて単語が散りばめられています。『天使』『賢者』『宝石』『葡萄酒』なんて単語も登場します。曲調も詩の雰囲気も統一感があって心地よいです。単語を、今、《》や『』でくくりましたが、これは歌詞カードのままです。他にも【】も出てきます。こんな単語たちが、どうも何かのメタファー(隠喩)の役割を果たしているようです。こんな謎を解くのも楽しみです。一般的な読みとは異なる読みで歌われてもいて、それがまた世界観を膨らませています。
全体が1つの組曲になっているのも、物語の統一感を引き出すのに一役買っています。Jポップで見られる「Aメロ→Bメロ→サビ」のような単純な形式ではありません。挿し込まれる語り、物語の展開にあわせて急展開する曲調、アレンジして繰り返されるフレーズ。聴くほどに味わい深くなってきます。
「薄ぼんやりとした関連」と先ほど書きましたが、聞き込むほどに関連性が見えてきます。登場人物たちの見えないつながりが浮かび上がってきます。
ちょっとだけネタバレです。CDに収録された11曲の他に、隠された曲が存在します。一般的には2曲隠されていると言われていて、実は3曲目が存在するのではという噂もあるようです。手がかりはすべて歌詞カードにあります。「あらかじめ2曲存在する」ことをあらかじめ知ったうえで、その気になって探せば、そんな無理のある謎かけではありません。パズル好きには気に入ってもらえるはずです。
この『Roman』、かように謎や疑問が散りばめられています。雰囲気を楽しむだけの楽しみ方もできるし、意図的に散りばめられた謎を解く楽しみ方もできます。物語の深読みもしたくなります。楽しみ方の糊代が大きく取られていて、曲としての深さを感じます。入り口は広く、奥行きは深い。よくぞここまで作り込んでいると感心します。
歌詞カードを手元に置いて、何度も何度もじっくり聞き込みたい1枚です。レンタルではなく、購入して手元に備えておきたいと考えています。
自分のアンテナに引っかかった面白いもの、興味惹かれるものも収集して記録しています。
不定期連載です。気の向いたときにお立ち寄りください。
http://bookdiary-k.blogspot.com/
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