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※この投稿は2009年10月26日(月)からの連続シリーズです。
 http://tblb.blog.shinobi.jp/Entry/110/

 「読みたくなる文章」を求めて、情報を「素材」と「切り口」の観点で4つに分類しました。

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 再び、ブルボン小林さんの表現に目を向けるため、著書のタイトルを列挙します。

(1) 『ブルボン小林の末端通信 Web生活を楽にする66のヒント 』
(2) 『ぐっとくる題名』
(3) 『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』
(4) 『ゲームホニャララ』

 (1)はウエブクリエイター向けのメールマガジンで連載していたコラムが原型です。読者はその道のプロ。読者の方が筆者よりも関連知識は豊富です。それを両者ともに承知しています。
 (3)(4)は「ゲーム」がテーマで、掲載されている媒体を考えると読者にある程度の知識がある状態で読みます。しかし、メジャーなタイトルといえど、様々な世代が読む文章。扱われているゲームのタイトルを全読者が知っている保証はありません。時にはマイナーなタイトルを紹介したコラムも書いています。
 (2)こそ、どんな人が読者となるか予想できません。「ウエブクリエイター」や「ゲーム好き」といった共通項がないからです。

 「素材が既知であるか未知であるか」。この点を表現者が制御しきることは不可能です。誰もが知っている話題だろうと表現者が考えていても、読者の知識の有無は過去の経験や習慣、出自や文化に依存しています。また、たとえどんなに新鮮な素材であっても、読者も同じ知識を有している可能性は否定できません。
(取材など足で稼いだ情報ならば、この可能性を0に近づけることも可能です)
 このことをふまえると、各領域の説明で書いた「よく知られた」「あまり知られていない」という表現はふさわしくありません。受動体の文ではなく、主体を明確にした能動体の文にすべきです。つまり、
  よく知られた→(読者が)知っている
  あまり知られていない→(読者が)知らない
とするべきです。 
 読者がどの程度の知識を持っているのか。それをあらかじめ表現者が測ることは叶いません。それも対象となる読者の数が増えれば増えるほど、です。

 一方、「切り口が斬新であるか平凡であるか」については、表現者のコントロールの余地がたっぷりと残されています。素材よりも切り口の方が絶対数が遙かに多いからです。先の料理のたとえでいえば、材料よりも調理法のバリエーションが豊富であることに対応しています。
(この現象は、切り口やアイデアがその人のオリジナルの発想であるのかを証明する大変さを物語っています。素材をウエブで検索できても、切り口の検索は困難です。)

 誰も知るはずのない素材を手にしている場合を別にして、表現としてのオリジナル性を求めるならば「切り口」に力を注ぐべきです。高度な観察力・思考力・考察力が問われますが、成功すれば効果的! 苦労に見合った見返りが得られるはずです。

 さて、長々と「読みたくなる文章」を追究してきて、今、僕の胸中には1つの不安があります。「切り口」と「How」の境目が消えているのではないかという不安です。
 不安を払拭するために、その違いを明確にしておきます。
 前回に引き続き、料理の例で考えてみます。その際、料理の材料を「素材」に、調理法を「切り口」にたとえました。では、「How」は何にたとえられるでしょうか。「How」は料理人の腕や想いにたとえられると僕は考えます。
 例えば、ナスを素材にして、和風・洋風・中華風・エスニック風などの調理法を選択します。仮に、調味料や調理器具まで含めて素材・調理法を完全にそろえても、料理人によって出来は違います。誰が想像しても納得できるでしょう。では、出来の違いはどこから生まれるのか。これも誰もが想像できるとおり、料理人の腕や想いの込もり具合でしょう。
 最終的に味の出来を決める腕や想いが、表現における「どう(How)表現するか」に値します。
 一般的な表現ならば、上手な文章の書き方やしゃべり方、上手な魅せ方、発信者の想い。これが「How」です。
 Whatがどんなに優れていても、Whatそのものは「わかりやすさ」や「共感」とは別問題です。How次第で80点の文章が60点にも100点にもなります。

 「切り口」と「How」の区別が整理できたところで、あらためて、第I領域から第IV領域までの特徴を考えてみます。

(つづく)

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