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今週3月17日(火)発売の『週刊アスキー』2009年3/31号で見つけた話。『世論調査.net』で「マスコミを支持しますか?」というアンケートを実施して、「マスコミ不支持」が相当数に上っていたとのこと。
気になってアクセスしました。僕が見たときには、回答総数9331。このうち支持が1.99%にあたる188票、不支持が94.45%にあたる8932票集まっていました。

インターネットによる調査だからその時点で公平ではありません。一種のフィルターがかかっていて「国民の総意」では絶対にありえません、誰が何と言おうと。
それでも「不支持」が多いだろうとは思うし、支持か不支持かと問われれば僕も「不支持」を推します。

投稿されたコメントを見ることができるので上から眺めていました。正直あまりにも量が多いのと、同じような声が多く飽きてしまったので、途中で読むのをやめてしまいました。
その投稿の中で多数を占める意見が「マスコミは公平ではない」「マスコミは偏重している」というもの。きっと多くの人が「そうだろうなあ」と思うのでしょうね。

でも、まず一歩立ち止まりたい僕はひねくれたことを考えるのです。「公平」ってなんだ?と。

スポーツやゲームなどのルールのある世界で「公平」かどうかを裁くのは簡単です。ルールに則って判断がなされれば「公平」です。つまり、誰が判断してもルールに従えば同じ結果になることが保障されています。
この観点でいえば、数学の世界も「公平」です。数学の中の体系にしたがって正しい計算や操作をすれば、性別や宗教や貧富や門地などに関係なく同じ答が得られます。

マスコミ。人によって定義が違うのでしょうが、ここでは不特定多数である一般民衆に情報を伝える手段、および媒体としておきましょう。「マスコミを支持しますか?」という問いの背景にあるのは、テレビ・ラジオ・新聞でしょうか。本来はここにインターネットも入れるべきでしょうが、とりあえず別に分けて考えます。

それで「マスコミは公平ではない」のか。言い換えれば「テレビ・ラジオ・新聞は公平ではない」のか。
テレビ・ラジオ・新聞にはルールがあるのか。少なくともスポーツやゲームのような明確なルールはありません。つまり、勝ち負けの基準があるとか、こうしたら反則になるとかのルールは存在しません。
あるとすれば各マスコミに存在するであろう「理念」と「求められる役割」でしょうか。「理念」「役割」が正しいものであるか、看板だけになってしまっているのか、しっかりしたがっているのか。ここを考えたら1つ1つのケースをつぶさに検証する以外にありません。
けれども間違いなくいえるのは、(それが多くの人に良い・悪いの結果はともかくとして)「想い」があって、それにしたがって報道されている事実です。例えば、事実を伝える、情報を流すという使命を帯びている以上、取捨選択は必ず存在し、結果的に「想い」を乗せざるをえないはずです。

したがって、「マスコミは公平ではない」と言われると当然じゃないかと思うのです。公平なマスコミなんて存在不可能だと思うのです。マスコミは公平ではないし、中立なんて無理だし、偏重(度合いはともかく)しています。今、主語が「マスコミ」でしたが、個人だって絶対に公平ではないし、中立になんか立てないし、偏重するのです。公平で、中立で、偏重しないには「沈黙」するしかありません。いや、「沈黙」すらも時にメッセージを持ちますから、やはり公平で中立で偏重しない立場なんか夢物語です。

以前このブログで「否定とともに解決策を」というタイトルで文章を書きました。否定の立場は絶対的勝者になることができて、心地よくなれる。「安全地帯」が保障される。こんなことを書きました。
9000近い不支持の票と多数の否定的意見。これを読んでいると「安全地帯」からの遠吠えに聞こえるのです。

僕はテレビ・ラジオ・新聞が絶対的に悪いとは思っていません。テレビ・ラジオ・新聞が悪いとすれば、インターネットも同じくらい、いやそれ以上に問題を抱えていると想います。先の『世論調査.net』で「インターネットさえ存在すればいい」なんて声があり、こんな声を聞くと「とんでもない」と思うのです。
情報を集めるにはインターネットは便利です。幅広い情報から必要な情報を検索する。テレビ・ラジオ・新聞には絶対できない芸当です。書籍でも無理です。この便利さを一度知ってしまうと、インターネットがなかった頃にはもう戻れません。けれども、「インターネットさえ存在すればいい」なんて絶対に思えません。
「インターネットさえ存在すればいい」と唱える人は言います。ニュースはテレビ・ラジオ・新聞に頼らなくてもインターネットで見ればいい、と。 僕にはこの感覚がどうしても理解できそうにもありません。この人はニュースを見たり聞いたりして事実を知れればばいいのでしょうか。事実を知ることは雑学やトリビア・薀蓄と同列だと思うのです。「へ~」とは思うけど、発展性を感じません。
ニュースをはじめとした事実に求められるのは、そこからどう考えるか、またはこれからどう行動するべきかという指針のタネであるべきでしょう。インターネットの100~200文字程度のニュース報道、下手したらヘッドラインだけの1行ニュース、これらにそのような発展性は望めません。
世の中のことから新しいアイデアを思いついたり、これから起きそうな出来事を予期してあらかじめ予防策を貼ったり、物事をいろいろな方向からとらえ直したりする。これらをするには、テレビ・ラジオ・新聞はやはり便利です。インターネットではまだまだ力不足です。

インターネットがなぜこのような発展性に至らないのか。僕が考える理由は、インターネットが余りにも事実を小口に切り分けているからです。想いを乗せるにはあまりにも短すぎるのです。想いが乗らなければ発展させられません。
インターネットの登場と共に距離と時間の感覚が速まっています。もっと遠くまでもっと速く伝えることに大きな価値となり、それがあたりまえになってしまいました。その中でどんどん「情報の小口化」が進んでいる気がしてなりません。文章は短くスピーディに、これが最上の価値となっている気がしていい気分がしません。メールで送られるニュースメールしかり、コントの短時間化しかり、「○○分で○○がわかる!」なんてタイトルの書籍しかり。
「情報が小口化」されると共に、「思考の小口化」も同時に感じてしまうのです。ちっぽけな思考で思考が単線化・単純化していると思うのです。
「あの政治家は○○だからけしからん!」
  ……立派な仕事もしているんじゃないの?
「今度の犯罪は14歳が犯した。子どもって怖いね。」
  ……一部を全体化してしまうその発送こそ怖いのでは?
「あの犯人は○○に影響されたんだって。○○を禁止しよう!」
  ……○○を持っていたら全員犯罪者?

否定的なものを見つけて、それと逆のことを発言する。パッと見はまともなようですが、やはり「安全地帯」からの遠吠え。こういう思考は今の現象をとらえてひっくり返すだけ。「第3の道」を探すこともせず無難な道で満足してしまう。こういう考えは短絡的で、むしろ危険な気がするのです。
よく大人が子どもに対して否定する「○○がイヤだから××したくない」「○○はつらいからしたくない」「楽しいことさえやっていればいいじゃん」と本質的に差がないと思うのです。

再び『世論調査.net』の話です。「マスコミは支持できるのか?」の問いに対し、「No!」とつきつけマスコミ批判をしてみせる。パッと見はまともなようですが、否定している人たちも「思考の小口化」しているだけで、「安全地帯」に逃げ込んでいるだけに聞こえるのです。この「安全地帯」からの声を聞いていると、例えば政治家批判をしているテレビとなんら変わらないと思うのです。
「安全地帯」は居心地がいいものです。僕も強く思います。けれども、「安全地帯」を抜け出さなければ発展性はありません。「思考は小口化」します。これを避けるには「第3の道」を見つける努力をするしかありません。

「知る」きっかけはインターネットでも充分です。でも、知るだけでは「安全地帯」から抜け出すすべはありません。「第3の道」を見つけるためにもテレビ・ラジオ・新聞はまだまだその役割は終わっていません。
小口化された情報には気をつけなければいけないし、それ以上に小口化された思考には気をつけなければなりません。発信されるものにも気をつけなければなりませんが、自分がその発信者にならないこともそれ以上に大事です。

「マスコミを支持しますか?」、この問いから今回感じた僕の決意です。


○『世論調査.net』内「マスコミを支持しますか?」の結果
 他にも数々のアンケートをアンケートを実施しているようで、自分でアンケートを設置することも可能なようです。
 http://www.yoronchousa.net/7031.htm

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